2011年11月16日水曜日

バングラデシュ通信

一日目


バングラデシュに着いたのは、11月16日のAM1:00。奇しくもこの日は自分の誕生日でした。
空港は24時間開いていて、両替屋・商店などもずっとやっているようです。
バングラデシュの通貨は「タカ」。自分が行った時は、ほぼ1T=1円でした。両替所によって結構レートが違うので要注意です。
遅い時間に関わらず人がたくさんいるのですが、この人たちが何の目的でここにいるのか、全くわかりません。
とりあえず、明るくなるまでここで寝ることにしましたが、空港内なのに蚊が非常に多い。なかなか寝付けず、ここ数年の中では、かなり質の悪い誕生日の迎え方となってしまいました。



日が出てきたので、市街地へ向かおうかと。
外も、何をしているのかわからない人たちでごった返しています。
空港からの移動手段は、タクシーかCNGになると思います。タクシーを使うなら空港内で頼むより、外で頼んだほうが3~5割安あがりです。CNGというのは、ガスで走るオートリキシャーみたいな乗り物です。
空港からダッカ市街地までは、タクシーで400~500T、CNGで300~350Tぐらいが相場だそうです。
市街地は渋滞がひどく、時間帯によっては、タクシーだとまったく動かなくなる時があります。空気が汚いことさえ我慢できれば、CNGがお勧めです。



市街地で宿を探すのですが、これがなかなか見つかりません。中心部やバスターミナル周辺は、もう一杯と言われ門前払い。数件断られた後、オールドダッカの「アルラザック」というところに入りました。
結局ここにした決め手は、日本語の情報ノートがあったこと。最近の情報は乏しかったのですが、数枚の地図のコピーしかない自分には役に立ちました。
この部屋しか空いていないとか言われ、しかたなくTV・AC付きの部屋に。ここは500T取られましたが、TV・ACなしだと250Tと言ってました。



飛行機のチケットを探しに、街の中心に行くことに。
近くにいた人に行き方を訪ねたら、すぐに数人集まってきて、皆であーでもないこーでもないと話し始めました。さらに、CNGを捕まえてくれて、料金交渉までしてくれるではないですか。
バングラデシュの人たちは、皆基本親切です。ただ、関わり方によっては、人により受ける印象が全く異なるようです。情報ノートの書き込みには「親切だけどうっとおしい」「押し付けがましい」「頼むからほっといてくれ」「どうやっても一人になれない」なんて書き込みもありました。自分は「親切だけど大雑把」といった印象です。
行き先も伝えてくれたようで、これに乗っていけば大丈夫と言われ乗ったCNGでしたが、着いたのは全然違うところでした。


チケットを買いにいったのは、あの「H.I.S.」(笑)です。
事務所には日本の方が一人在籍しています。いろいろ相談し6日後のチケットを購入。
ビーマンバングラデシュ航空で、クアラルンプール行きが18000円ぐらいでした。バンコク行きは16000円ぐらいだったような気がします。
その他、主にバングラデシュの見所について担当の方から伺いました。以下抜粋です。

・見所が少ないのがバングラデシュの難点。
・観光的なことは、ほとんど産業化されていない。
・強いて言えば「ロケットスチーマー」か。
・海のほうもいいかも。
・廃刊になると困るんで、歩き方買ってください。
・この事務所もいつまであるのか…



2日目



オールドダッカ周辺をブラブラ。
ブリコンガ川の波止場に「ロケットスチーマー」が停泊していました。
蒸気駆動の外輪船で、ダッカからクルナ地区のほうに運航しているようです。この時はたまたまダッカに来ていたのですが、あまりにも不安定な運航状況に、H.I.S.の方も頭を悩ませていました。



川沿いにある果物市場。
ものすごくとっちらかっていますが、一応これで商売をしているようです。
食べ物の物価は安いですね。アフリカとのギャップもあったのでしょうが、所持金の減りの遅さが嬉しかったです。



大きなバスターミナルがある、グリスタン交差点のビルの上から。
人の多さ、バイク・自動車の無法さかげんなど、混沌度合いはインドとそう差は無いかもしれません。



自分はバングラデシュでは、ほとんどカレーやビリアニばかりを食べていました。現地の人も、主にそうしているようです。
カレー・ビリアニは、インド・ネパールのものよりも、自分の口には合うような気がしました。
これはエビのカレー。たしか40Tぐらいでした。かなり美味しかったので、後でもう一回食べようと思っていたのですが、時間がなくて再訪できなかったことが悔やまれます。


3日目



夜行バスで海のほうへと向かいます。
バス網は結構発達しているようで、多くのバス会社が、地方各地へ数多くの便を走らせています。価格も手ごろで、長距離だと60~70T/1時間ぐらいで乗れる感じです。
夜行バスに乗って凄いと思ったところは、その暴走っぷり。市街地はよいのですが、ちょっと田舎道になると、ものすごいスピードを出し始めます。
道中はさながら、他の夜行バスとのカーチェイス。一番前の席にいたので、気になってあまり寝付けない上に、寝ても急ブレーキで頭をぶつけ、何度か起こされるはめになりました。



着いたのはコックスバザールという海沿いの街。
ここは「世界一長い海岸(自称)」として有名なところらしいです。街には、やや高級なホテル街、海岸にはベンチとパラソルが並び、ちょっと観光地っぽくもなっています。



人は多いのですが、お国柄か、皆着衣のままチャプチャプ水に浸かる程度の海水浴を楽しんでいるようです。
釣りをしようと思っていたのですが、人の多さと、海岸の汚さで、竿を出すには至りませんでした。



コックスバザールでは「パノワ」という宿に泊まりました。
一泊100T。蚊帳があったのですが、汚れの酷さに、使うことを断念しました。ちなみにここにも情報ノートがありました。


4日目



近くに、ボートで渡れる離島があるというので行ってみることに。
乗り合いのモーターボートで20分ほど。



モヘシュカリ島に到着です。
長い桟橋から続く道を歩いていくと、島の中心であろう市場に辿り着きます。その周辺には民家や寺院が幾つか。まあ、穏やかな場所です。



見所はないか聞いてみたら、小高い丘があり、そこに寺院があるというので行ってみることにしました。
丘の上から遠くを望む。そんなに高くはありませんね。



丘の途中にはヒンドゥー寺院がありました。



島からの帰りはスローボートを利用しました。
大きめの船に乗り合い、船が一杯になったら出港です。
まあ例によって人を詰め込むので、なかなか出発しない上に、かなりのすし詰め状態。難民船ってこんな感じなのでしょうか。


5日目



昨夜の夜行でダッカに戻りました。
ネットができるところを探して市街地をブラブラした後、宿へ戻ろうと思いましたが、夕方のラッシュ時のためか、CNGが全然つかまりません。あきらめて路線バスに乗ることにします。
バスの中は、やはりカオス…無理やりバスに乗り込んだら、隣にいた人が「もしかして日本人ですか?」と、いきなり日本語で話しかけてきました。
彼は、もう20年ほど日本に住んでいるという、埼玉在住のバングラデシュ人でした。普段は日本で、貿易や現地がらみの裁判の仕事をしているそうですが、今たまたま実家に帰ってきているとのこと。彼からも色々話を聞くことができました。
以下抜粋です。

・やっぱり日本人ですか!最近、日本人と、中国・韓国人の区別がつくようになりました。
・バングラデシュのおすすめですか?食べ物・風景。日本にないものがあるでしょ?
・果物は美味しい。ミカンみたいなやつ、ココナッツジュースはお勧め。バナナも安い。
・魚介類はいっぱい採れるし美味しいと思う。魚を食べて下さい。
・カレーも美味しい。
・世界一の海岸がある。
・人口密度も世界一。
・でも大気汚染も世界一とか。
・田舎の方に行ってみたら?
・人は悪くないけど、いい加減なことが多い。
・汚職が横行していてやり切れない。
・こんな国だが油断せず、詐欺や盗難には注意。



コックスバザールの情報ノートに書いてあった情報で、ダッカにてお酒を入手することができました。
おおっぴらには売っていないので、へんなバーの一角で購入。
バーはビルの奥まったところにあり、入り口には銃みたいなのを持った人がいる警戒ぶりです。ビールも厳重に包んで売ってくれました。


6日目



鉄道に乗ってどこかに行ってみようかと。
ダッカ近郊のナラヨンゴンジというところを目指します。
駅でボーっと待っていたのですが、到着した列車に目を奪われます。この写真ではもう大半が降りていますが、その乗車率がハンパないのです。これに乗るのかと思うと、早くもげんなりです。



と思っていたら、混んでいるのは上りだけで、この時間の下りは全然空いていました。
隣の席の人と話していたら、行き先が一緒だから、着いたら付近を案内してくれるというではありませんか。



駅に着いて、付近を散策した後、一緒に食事をしました。
お会計をしようとしたら「お客さまに払わせるわけにはいかない」といって、食事代を支払ってくれるではありませんか。申し訳ないのでお断りしようとしましたが、彼は頑なに自分の申し出を断ります。その後も、飲み物等、いろいろごちそうになってしまいました。



この後もやることがなければついてこないか、というのでしばらく同行すると、大きな建物に案内されました。
彼はここにある大学の学生だったのです。



ここは、海洋工学の学校らしいです。
講義室、研究室、寮など、あちこちを案内してくれました。まだ大丈夫だろう、泊まっていけ、など引き止められましたが、ほどほどで戻ることにしました。
本当にありがとうございました。



ダッカへの帰りはバスをつかってみます。
これが大渋滞でほとんど動きません。行きの倍ぐらいの時間がかかりました。素直に鉄道を使っておけばよかったです。



オールド・ダッカのバザールをブラブラ。
それにしても人、車が多い。
いままで平気だったのですが、ここに来て自分の中で、何かの糸がプッツリ切れました。
もう人に会うのに疲れてしまい、とにかく一人になりたくなったのです。この日の夕方からは、誰にも会わず、一人宿の部屋でTVを見て過ごしました。


7日目



夕方の飛行機まで時間があるので、街中の近場をぶらぶらしてみようかと。
宿の近くにあった、独立戦争博物館へ。



外観はこんな感じ。
インド・パキスタンからの独立の歴史に関するものが展示されています。
私設の博物館というわりには充実の展示内容でした。



バングラデシュを経つ時間も迫ってきました。
空港へ着くと、とにかく凄い人だかりです。みんなバックに同じシールを貼っているので、何かの大きな団体さんかと。
チケットを購入するとき、本当はシンガポールに行きたかったのですが満席のため、やむなく1席だけあったクアラルンプール行きを選びました。H.I.S.の方は「いつもならこんなことはありえない。何かあるはずだ」と言っていましたが、これの絡みだったのでしょうか。



悪名高いビーマン・バングラデシュですが、搭乗後なぜか2時間ほど動きませんでした。まあ、最終的に飛んでくれたことだけで良しするべきなのでしょう。


…といった感じの1週間でした。
自分の印象は、総じて悪くはありません。

自分は、どこに行っても何もなくても結構楽しめますし、汚い環境にもかなり耐えられるタイプなので、あんまり嫌な思いをせずに過ごせたかと思います。
ただ、人に関しては、最後の方で限界がきましたね(笑)。基本皆親切と言いましたが、その親切さが仇になることも多々。
やはり外国人は珍しいのでしょうか。何もしていなくてもすぐに人が寄ってきて、いろいろ話しかけられますし、あれよあれよと大勢の人が集まり、収集がつかなくなります。困っている時はありがたいのですが、そうでないときはちょっとウンザリ…
インドもかなりうざったいですが、バングラデシュは基本人が悪くないので、それとは質の違ううざったさではないかと思います。

外国人を含めた旅行者っぽい人は、一度も目にしませんでした。最初に泊まってたホテルの宿帳に日本人の名前を数人見ただけです。バングラデシュの旅行者って、やっぱり少ないのでしょうか。

そういえば、ザンビアのリビングストンで、ひとしさんとザンジバルで一緒になったという、ゆうたさんとアキさんにお会いしましたよ。
アキさんは、バングラデシュに仕事がらみで滞在したことがあるそうです。おすすめはと聞いたら、アジア最大のNGO「ブラック」の見学を勧めてくれました。

日本に帰ってきてからは、「臭いのと汚いのと喧騒に耐えられて、人と関わるのが大好きならお勧め」と人には伝えました。
今回行かれるかどうかわかりませんが、ひとしさんにはもちろんお勧めですよ!